2020年頃から業界を震撼させた資材費高騰、ウッドショックなんて言葉まで出来たのでご存じの方も多いかと。
ウッドショックに関しては、アイズ的には以前より地元材のパイプがあったので特に問題無かったですが、合板関連は地元には存在しなかったのでキツカッタのも確か。
そんな木材高騰、いつ頃戻りますか?なんてお話を頂く事も多いですが、肌感覚として「以前の価格には戻りません・・」米国での住宅需要の高止まりに加え、 ロシア・ウクライナ情勢による物流の停滞、 さらに円安の長期化などもその要因かと。
そこで良く言うのが「経済的な架構」です。
木材が高いなら、使う量を減らすか、効率よく使うしかない←端的な答えかと。
ではその経済的な架構とは何かですが、大きくは3点。
構造をシンプルにする(直下率の向上)
建物の凸凹を減らし、1階と2階の壁の位置を揃える(直下率を上げる)。
これは耐震性を高めるだけでなく、余計な梁や柱を減らし、 構造材のトータルコストを大幅に削減します。
木材の「定尺」を意識した設計
木材には3m、4mといった規格(定尺)があります。
設計段階でこのモジュールを無視した寸法にしてしまうと、 大量の端材(カットロス)が発生し、その分もコストに含まれます。
面積の小さい部材(羽柄材)の活用
特注はもちろん大きな断面の梁は単価が跳ね上がります。
構造計算によって安全性を担保しつつ、 入手しやすく安価な一般流通材を組み合わせる事で、無理・無駄が無くなります。
あと構造は木材だけで無く、基礎コストにも直結します。
こちら勉強させてもらっている「構造塾」の構造ルールの一つ。
基本的に無理なスパンを飛ばさない。
あと架構は木材だけでなく基礎にも大きく関与します。
「ベタ基礎」なんて言いますが、画一的な基礎なんて存在せず、大きなスパンになるほど無理が生じて「鉄筋量やコンクリート量が増えます」
こちら日経クロステックに「経済的な基礎」として載っていましたが、ちょっと無理した平面だとスラブ短辺距離が3.6m以下でもスラブにダブル背筋が必要になります。
スラブと言うのはベタ基礎における「ベタ」部の事。
そこに赤線の様に鉄筋を組みますが、シングルとダブルでは(画像はダブル)鉄筋量もコンクリート量も倍違ってきます。
結構無茶な平面を見る事がありますが、コスト云々以前に構造が成立出来ない事も(汗
どんなのが不味いの?
ひとつの例として こちら間取り集に載ってた、最近はやりの横並びダイニングのおうち。
なんか良さそうな平面ですね。
が、あえて言えば基礎区画がちょっとキツイ。
あと丸印に柱が無いので木構造にも無理が来ます。
赤四角の基礎は鉄筋量多めのダブル配筋には間違いないですが、それでも無理やり耐震等級は上げられます。
木材も大きな強いモノが求められるでしょう。無理な平面計画は建物弱くなるだけでなく、コストも掛かる訳です。
そんなこんなの「経済的な架構」少しはイメージで来たでしょうか。
住宅デザインは構造と断熱、そして意匠は同時に考えなきゃですよ^^
アディ押忍
【 ハウジングアイズ 】では、飛騨高山にてパッシブな高断熱思想を用いて、恒久的な省エネ快適住宅を御提案しております。