仕上がってからは見る事が出来ない建築途中。
例えばこんな一コマでも何点か大切なポイントがあります。
断熱材は綺麗に入っているか?は当たり前として。
■黄色:防湿シートは欠損無く桁まで伸びているか
気密テープや乾燥木材で止まっているか※注1
■赤色:窓の性能は正しいか
最近では窓性能がシールに記載されています※注2
■青色:コンセントやスイッチの防湿は的確か※注3
■紫色:防湿は窓周りを連続しているか
窓周りに発泡ウレタン等の処理はあるか
窓周りを拡大するとこんな感じ
防湿シートが窓周りの発砲ウレタンや窓と連続している事(矢印)
画像は気密テープで連続している事が目視出来ますね。
完成してからは見る事が出来ない快適への担保。
完成してからは見る事が出来ない快適への担保。
大切な事なので2度言いましたよ(笑
アディ押忍
※注1.管理出来ない気流を止めろ
http://eyescode.bijual.com/Date/20151125/
※注2.窓の性能
https://housingeyes.bijual.com/Date/20201018/
※注3.コンセントボックスは室内側に
これ、半分正解で半分間違い。
たしかにハウスメーカーは全国一律の性能を守らなければなりませんから、一定以上の性能担保は確実にあると思います。片や工務店は裾野が広く、一人親方の大工さんからパワービルダーまで、会社の大きさや技術力は千差万別。
逆に言うとハウスメーカーはその特質上、一定以上のトップランナー的な性能を誇示する事は難しいと言え(画一的な性能を保持しないと訴訟問題だから)小さくても尖がった工務店の技術力には到底追い付かないとも言えます。
と、思ってました。
もちろん以前はハウスメーカーの施工も結構ひどい事もあったのですが、最近はやはり上記の理由から、ナンチャッテな工務店よりは全然安心できるレベルです。
と、思ってました。
・・含みを持たせるなと(笑
こちら ↓ 某SNSでフォローしてもらってる一般の方のポスト。
断熱施工、こんなんで良いのでしょうか的な画像・・。
良い訳ありません。
アイズブログご覧の方には、説明する必要も無いですよね。
しかもこれ、TVCMなんかもやってる誰しも知ってるハウスメーカーの現場らしく。
でもさすが、防湿シートを貼らなければイケない事は知っている様で、一応貼ってありますが・・窓周り・コンセント回り・壁下・壁上の施工など、ただ貼ってみただけ状態で。
これ、現場監督も大工も「なぜ断熱が必要なのか?なぜ防湿が必要なのか?」と言う根本的な事をご存知無いかと思われます。
はい。このおうち、間違いなく腐ります(汗
何度も言いますが、有名なハウスメーカーの家です。
別画像では「制震ダンパー」も使ってありましたので、きっと現場の外には「高気密高断熱」に加え「高耐震」の現場シートが掛かっている事でしょう。
こんな施工してて大丈夫なん?とは素直な感想なのですが、悲しいかなこれが令和2年の現実です。
ハウスメーカーvs工務店・なんとか工法vs在来工法・なんちゃら断熱材vsグラスウール的なザックリした括りは全く意味を持たない事がお分かりいただけるでしょうか。
現場に求められる施工精度、イメージだけでは無く知識として持っておくだけで、かなりのリスクヘッジになると考えます。そんなこんなは少し話をすれば判断できそうな気がしますが、これは何故必要?って辺から押さえていくと、おのずと答えは出るかも知れませんね。
とあるリモデル現場~外壁剥がしてみましたの図。
グラスウールのアルミシートが見えます。
ここで、普段は見る事のない壁の中を見てみましょう。
壁の厚み半分まで内装下地が来ていまして、床に見える白いのがポリエチレン系発泡断熱材ですが・・落ちています(汗
ですが、これ床断熱アルアルで実は新築物件でも良く目にします・・。
隣の断熱材の内部も見てみますと
一緒ですw
てか、良く見ると断熱材が足らなかったのでしょう・・無造作に継ぎ足してあります(笑
これ普通にダメな事なのですが、この程度の断熱材+厚みだと無断熱と大差ないと言いますか何ちゅうか本中華。
図解するとこんな感じ。
黄色い部分が壁の厚み(断熱材が入る層)ですが、根太と言う床を支える下地が壁内に貫通していますので、そこに十分な隙間が出来て、温度差による「気流」が生れる訳です。
そこにグラスウール等繊維系の断熱材があっても、隙間があれば十分な「煙突効果」が見込めます。てか隙間だらけなので・・。
外壁側だけでは無く、内壁でも同じ理屈になりますので、例えば居間でファンヒーターを焚けば焚くほど、微妙に壁内が暖められ上昇気流が起こり、床下から更に冷たい冷気を引っ張る事になります。
その冷気は暖房の邪魔になるばかりか、カビやダニの原因にもなる訳です。
口を酸っぱくして言う「気流を止めるべし」と言う理屈が分かるかと思います。
断熱材の性能以前に、使用条件を正す事が必要なのです。
もちろんこの現場、手の入る部分は是正しましたが、この辺何処まで行うかでコストが変わって来ます。
その辺、全て行えば良いに決まってますが、やはり予算と優先順位がありますので御施主様との協議となります。
医療ではインフォームド・コンセント(十分な説明と納得による合意)が言われますが、建築でも大切な時間だって思っています。
アディ押忍。
「木が好きです」系の方々が良く言うのですが、ビニールに囲まれた様な空間は家では無い。うちで使っている断熱材はビニールシート(防湿層)が必要ありませんってのも良く聞きます。
それに付随してなのか、最近「防湿シートは劣化するから意味が無いと聞いたのですが、そうなのですか?」と言う質問を頂いたのでヒトコト。
そこで透湿面材を使って・・等々のお話に発展するのかと思えば、単に「防湿シートは劣化するから」と言う業者さんに会ったらしく(苦笑
※画像はユニットバス設置前「防湿シート」施工の図(黒線は気密テープ)
端的に言うと、弊社でも採用しているポリエチレンシート(0.2mm)の寿命は、壁体内に存在する限り、貴方と貴方のお子様の寿命を足したより長いです。ご安心ください。
そして、ビニールシートに包まれた様な息苦しい空間は家では無いと言う修行僧の様な方へ、大丈夫。潜水艦とか宇宙船作ってる訳では無いし、それ以前にその防湿シートが寒い寒い冬季、暖房した生活で発生する壁体内結露から家と健康を守ってくれるのです。
露点計算すると一発で答えが出ますから簡単ですよw
何度でも言いましょう。
住宅性能は正しい数字と、丁寧な施工精度で決まります。
そこに「オカルト」や「個人的希望」は必要ありません(笑
人工大理石のバスタブが入った素敵なバスルーム
でも・・寒い。アルミサッシのせいかしら?
はい。この場合、窓より先に躯体が原因となります。
こちら 上のお風呂を解体したよの図
外壁側に50mmのグラスウールが入っていますが隙間だらけ以前に、壁の中で上昇気流が起きるので、断熱は全く効きません。
室内側も同様です。
画像の黄色い線が天井のラインで、赤い矢印か壁内の上昇気流です。
この気流は床下(基礎内)から繋がっています。
なのでお風呂を暖めれば暖める程、壁内に熱が伝わり、基礎下から冷たい空気を引っ張って上昇気流が生れます=壁内は常に基礎下の冷えた空気が動いている訳です。
それは脱衣室も同じです。
まずはこの気流を止める事が先決と言えるでしょう。
実際、カビの元になります。
どうするかと言うと・・
お風呂~脱衣室の基礎内を1区画として独立させ、まずは防湿シートを引き、その上にコンクリートを打設します。
その上に「防蟻断熱材」を敷き、基礎の立ち上げも120mm厚で立ち上げます。
その際、いくら防蟻断熱材と言えど、施工前に防蟻施工は必要ですよ。
そこまでしたら、今度は壁断熱材(HGW:120mm)を土台から桁まで丁寧に充填し、防湿フィルムを乾燥木材とブチル気密テープで丁寧に気流止めします。
それを確認してから、天井の断熱材+防湿シートの施工を行い、更に壁と天井の密閉を行います。
そこまでしてから始めてユニットバスの施工となります。
高断熱浴槽だから、ここまで不必要?
いぇいぇ、ユニットバスの断熱なんて「気のせい」レベルですから、ここまで必要なんです(笑
しっかり断熱された空間に、ユニットバスを施工する事で、ユニットバスと躯体の間に極端な温度差を作らないと言う利点が生れます=冷えにくいお風呂の完成です。
お 値段以上アイズw
「窓に当たる太陽角度」でエントリしたこちら
https://housingeyes.bijual.com/Date/20201020/
外部の木製格子が設きましたので お披露目(笑
西日を入れたい これからの時期は開けます^^
室内も ↓ こんな感じで仕上がりました。
いー感じで光入ってますが 洗濯物干し用のサンスペースです。
外部に設けた ルーバー戸開いていると 西側の窓からも日射は取得できますが
閉じれば日射遮蔽+通風可能
ちなみにガラスはLOW-Eトリプルガラスざます。
【 夏と冬で着替える家 】・・うーん ボツ(爆
ウッドデッキに出られる開口と言うより
2階吹き抜け窓からの日射取得
ここ最近唐突に「床下エアコン」が市民権を得てきたらしく、一般の方より「あぁ床下エアコンって流行ですよね~」なんて言われる事も多くなりました。
ちなみに弊社では床下を暖める床下暖房、15年前からやってますw
昔は「はぁ?」なんて良く言われました。まぁパイオニアとしての知識の蓄積は一長一短には積まれませんので、その辺は自負していますが(笑
って訳でダイニング
ルーバー戸を外すとエアコンがあります。
以前はFFヒーター(灯油)をメインにしていましたが、最近は寒冷地エアコンの性能が良くなって来ましたので、エアコンを使う事も多くなりました。
エアコンの場合は、上から(室内側)から吸気して、床下に暖気を送ります。
この辺、基礎計画から丁寧に考えないと失敗しちゃいますからね^^
先日の窓「日射熱取得率 η」
https://housingeyes.bijual.com/Date/20201018/
10月で、南からの日射はこれくらい入ってきています。
外部には900mm伸ばした庇。
西側の窓には、可動式の日射遮蔽用の格子戸付けます(黄色いの)
この軒のおかげで 7月~9月は日射が室内には入りません。
ちなみに冬至くらいまで陽が下がると、こんな感じで入ってきます。
日射操作は地味な努力ですが、室内温度の大きなファクターになります。
こちらサンルームですが冬季は いー感じでポカポカでしょう^^
内緒ですが・・太陽からは請求書届きませんからね(笑
アディ押忍
数字で選ぶ「窓の性能」
家は数字と施工精度って何度も耳タコですが(笑
本日は簡単なケーススタディ。
窓に求められる性能で分かりやすいのが「日射熱取得率 η」と「熱還流率U」
「日射熱取得率 η」とは、ガラスに当たった日射量に対して"透過した日射量"の割合。この値が小さいほど日射の侵入を防ぎ 遮熱効果が高いガラスと言えます。
冬季の「日射取得」に大きく関わる数字と言えますが、実は夏季の遮熱に重要視される指針。
なので告示では 飛騨高山より寒い場所(北海道から飛騨高山)に日射遮蔽の指針はありません
ちなみにこの辺ですと、下呂市から南、名古屋辺りまでは
①ガラスの日射熱取得率 ηが0.49以下
②ガラスの日射熱取得率 ηが0.74以下のものに、ひさし、軒等を設ける
③付属部材を設ける(南±22.5度は外付けブラインド)
①~③の何れかの対策が求められています。
その辺 アイズではどうなのか?
こちらの画像サンルームですが、ちょうど南と西に窓を配しています。
ちなみに おなじみドレーキップ窓です。
こちらはYKKのサッシですが、南の窓に貼ってあるステッカー
「日射熱取得率 η」は 0.44
「熱還流率Ug」が 1.19
「熱還流率Ug」とはガラス中央部熱貫流率の事なので、窓全体の性能ではありませんが、ご存知この数字が小さい程、熱が伝わり難いと言う数字です。
今回は「日射熱取得率 η」をメインに比べますが、上に書いた名古屋近辺の指針①~③すべてを大きくクリアしています(外部に庇・外付格子も設けます)
更に西側の窓に貼ってあるステッカー
「日射熱取得率 η」は 0.31
「熱還流率Ug」が 0.60
トリプルガラスですが 南向きの窓より、かなり断熱性能良くなってますね。
そうです。日射取得と日射遮蔽は方位や周辺環境により異なる為、取付箇所によって個別の検討が必要になります。
簡単に言うと、夏季に日射を入れたくない西や東の窓は日射熱取得率を下げ、外部に日除けを設置する等でも、暑い日射を遮蔽し、冬季の日射取得を増やしたい南側の窓は、日射熱取得率を上げて日射を取得し、それでも夏季に直接、陽が当たらない様に庇を大きく出す訳です。
その辺のテクは外観デザインにも関わってきますので、設計者の技量が出ますよね(笑
そんなこんなの窓談義。
日射の捉え方ひとつでも、画一的なデザインや思考は無いと言う事です。
お値段以上アイズ(笑
アディ押忍。
【 ハウジングアイズ 】では、飛騨高山にてパッシブな高断熱思想を用いて、恒久的な省エネ快適住宅を御提案しております。