気象庁が南海トラフ巨大地震への「巨大地震注意」を発表しました。
南海トラフが動くと岐阜県飛騨地方でも5強を超える揺れが想定されます。
【アイズブログ:岐阜県地震危険度マップ】
https://housingeyes.bijual.com/Date/20231227/
「5強」と言うと周期にもよりますが家屋が倒壊するレベル。
↓ 昨日の日向灘沖の地震でも家屋の倒壊が散見しています。
2階にいて閉じ込められた。
1階に居たら「命」が無かったかもしれません。
建物の揺れには特性があります。
いますぐ耐震なんて もちろん難しいと思います。
ただ「ここは比較的大丈夫」や「ここでの就寝は危険」
~と言う判断はつきます。
ご実家なんかも心配な事かと考えますが
簡単な目視で分かりますので宜しければ
お気軽にお声掛けください。
大きな事は出来ませんが 手の届く範囲だけでも
悲しみを減らせたらって思います。
オーダーメイドのスーツとは
その人の体のサイズに合わせ 好きな生地や
仕立て方法を自由に選べる縫製手法。
もちろんそこには「縫製の正しい基本」があり
一回着だけで そこら中解けるなんて事は有り得ない訳で。
ただそのオーダー感覚を「自由設計」と称し
ルールなき無法地帯な商圏が今の木造住宅自由設計。
大開口や大スパンは当たり前
柱直下率って何?おいしいの?
基準法に合致してるから全く問題ない!とか
そもそも基準法に照らし合わせているのかすら
怪しい物件もよく目にします(汗
前置きが長くなりましたww
こんな建物を見たんですよ。
900mm以上オーバーハングした木造住宅。
しかもオーバーハングは出隅部分あわせての2か所。
・・S造(鉄骨)かと思えは しっかり木造。
なぁーにー!?
これの何が不味いかと言えば、単純に直下率ですが
一番大きな力が掛かる部分の直下に支えが何もありません。
これを成立させる為には 横架材そのものを
強く大きくしなければイケマセン。
経済的な構造とは?
あと 水平を張り出した場合
最低でも張り出した分の倍寸法は控えが必要に。
あ 気づきましたね。
そうです。Y方向は良いとして X方向は?
その出隅(角)部分は?
床があって生活荷重があって 角に柱があって
梁があって 屋根があって 雪まで乗っかるのに・・
そもそもコレ構造成り立つの?って疑問ですが
許容応力度計算や品確法だと「等級1」すら満たす事が難しく。
水平構面と両立させる為にも過剰な構造が求められます。
あ、いえ、構造根拠があれば良いんですよ。まるっとダメだと言ってる訳では無いのです。
ただ
恐ろしいことに審査が義務化されていない
4号建物だとノーチェックで建てられます(滝汗
あぁ 来年から4号廃止だから安心だねって・・
これ壁量計算だけなら 壁量足りれば成り立つんですよww
四分割法も直下や床構面見ないので
https://housingeyes.bijual.com/Date/20210501/ 【四分割法とは】
この辺も壁量さえ足りればクリアできます。
はい。まともに計算すると建てられない建物が
まともに計算しないと建てれるんです(爆
いゃ 笑いごっちゃ無い。
と言うわけで、構造根拠にも「質」があると言うお話です。
「カッコイー」だけなら良いですが
わざわざ断熱損失部分を大きくして更に耐震すら無視する思考に
「カッコよさ」なんて存在しないと思います。
大開口やオーバーハングも良いですが
見た目の不安定さって実は結構 本質突いてるかもですよ。
オーダーメイドとは 正しい基本があって初めての選択肢。
そんなん当たり前なんだけど 当たり前ぢゃ無い事もあるんですね。
アディ押忍。
今年元旦からの能登や台湾・愛媛の地震を受け
最近は「制震装置」のご質問を良く受ける様になりました。
最近だとNewsなんかでも取り上げられるので
感心が高くなっているのかも知れませんね。
そこで本日は制震装置について。
制震とは地震エネルギーを吸収して
建物の揺れを小さくする装置の事。
こんなシミュレーションを見た事あるかと思います。
右が制震装置×4ヶ所 左が制震無し(双方耐震等級1)
赤い壁が損傷していると言う事なので
やっぱ制震スゴイと感じると思うのですが(謎
そもそも躯体性能が「耐震等級1」と言うのがミソです。
そう 制震装置とは
制震とは地震エネルギーを吸収して
建物の揺れを小さくする装置の事。
許容応力度計算には「層間変形角」と言う基準がありますが
例えば地震時に1階の変形を2~3㎝未満に抑えられれば
繰り返し地震を受けても耐震性能は低下しないとされます。
その為の計算で 木造の場合は1/120と言う基準があります、
1・2階の寸法が3000mmだったら25mm未満。
1/200で計算したら15mm以上変形しない事が前提に。
となると制震装置効く?って話になりますよね。
ちなみに耐震等級1だと そんな計算すら無く
何センチ変形するかも分かりません(汗
最初の画像見てみましょう。
耐震等級1だから揺れる訳で(以下だったら更に)
揺れて初めて制震装置が効く訳です。
逆に数センチしか変形しない建物には
制震装置つけてもあまり意味が無いと言う事に(汗
コストを考えると まず建物は固く作る。
なので耐震等級1+制震装置では無く
その予算で 耐震等級を2や3に上げる事が先決。
ただ あの制震装置の実験映像見ると安心感強いですよね。
で
すごく気になって勉強させて頂いている「構造塾」に
「積雪乗せた(1.2m)耐震等級2+制震装置」と
「積雪乗せた(1.2m)耐震等級3」では
どちらか良いかとと聞いてみましたところ・・・
即答でw
「積雪乗せた耐震等級2はかなり余力ありますが
その2択なら まず耐震等級3!
予算都合付けは制震を考えても良いでしょう」との事。
やはりそうか なぜ日和ったオレ(笑
制震装置は繰り返しの押匹の面積が大きい程
制震効果が高いけど 現状ほぼデータは非公開(汗
結論として
まず固くて軽い建物を作る
ただし効くかどうかは未知数w
そんな感じが現状の答えと言えそうです。
制震装置 一度検討した事あるんだけど
・・高いのよねぇ(笑
いえ 制震装置はダメと言ってる訳では無いですよ。
優先順位のお話です^^
制震装置つけて地震に強いです!ってセールス見たら
すこし立ち止まって俯瞰する事も良いかもしれません。
アディ押忍。
珠洲市の様子
現在Googleストリートビューにて
数か所ですが2月頃の能登が見られるようになっています。
https://star.rcast.u-tokyo.ac.jp/suzu-street-view/
復興も進んで来ている様ですが 何処を見てもこんな感じで・・
あまりに不自然な壊れ方。
ちょっと進んで振り返るとこんな感じ。
なるほど、道路向かいの倒壊建物から
何か大きな飛来物があったと想像出来ます。
道路部分のみ通れるようになっていますが
被災時は道路が使えない位 飛来物が散乱していたと思われます。
それでもこちらの家なんかは デザイン的に見ても最近の建物で
外部からは損傷が確認されません。
2000年以降の耐震基準かと思われます。
内部は分かりませんが たぶん住み続けられるのではと。
ただ、たぶん建て替えなのでしょうね
この家のブロック塀は倒れていました。
倒壊していた建物の典型的な原因がコレ
正面に全く壁が無い為 階上の重さを支えきれず折れています。
お隣さんにもたれ掛っていますね(汗
同じ通りで もっと古い建物がこちら。
奥は3階建て申請かと思いますが
それなら構造計算が行われているので やはり損傷なく建っています。
その前の建物 黄紙らしきものが貼ってありますが
これだけ残っていれば 命は助かった事でしょう。
その分かれ目が この壁量。
筋交いや力貫等入っていたか分かりませんが
たぶん何かしらはあり、フル開口で無いだけで ちゃんと命は守れています。
それに対して向かいの家は・・・
この辺が明暗を分けている要因かと。
能登地震 細かい資料が揃ってきましたが
ボランティアも考えつつ細かく検証していきたいと思います。
あと
台湾も加油!
地震、他人事では無いですよね。
寄棟の収まり墨付け悩んでるの図(笑
寄棟屋根ってのは、こうやって隅部両側から寄せていく屋根の事。
あと!良く見て、屋根垂木のブロッキングは30mm開けて通気層に。
屋根下地作ると見えなくなっちゃいますが・・
下から入れた通気を棟まで誘導して「棟換気」で外気に抜きます。
通気大切。うんうん。
てか、この垂木の背は高いと思いません?
この黄色線間のスパンを飛ばす為です。
以前は大きな垂木でスパン飛ばしてたのですが、最近はツーバイ材が高くて使えないと言う(汗
ちなみに大きな材料でも、軒先はカットして見えかがり高さを抑えます。
もひとつちなみに、本屋部分は母屋スパン(縦の黄色線)が狭くても勾配あって作業出来るので、垂木は下屋より小さく90mm高としています。
垂木背が低い事分かりますよね、
登り梁としていますが、その母屋スパンは910mmにて。
話は戻って寄棟の垂木現わし(オープンコーニス)完了の図。
下屋だけスパニッシュに仕上げようかと( ̄ー ̄)
垂木等々、塗装しますが可愛くなりますよぅ^^
デザインと構造は表裏一体ざますわよ奥さま(笑
「建築知識」の最新号より
多雪地域で耐震等級を設定する場合は積雪荷重を考慮する。
なぜなら積雪荷重を考慮していない耐震等級3だと、積雪荷重を加えた途端に建築基準法をギリギリ成立する程度の耐震性能(等級1程度)になる事が多々あるからだ。
これ本当で、例えば弊社のある高山市国府町の法的積雪量は1.4mなので、その重さを載せて耐震等級2の家を成立させて、それをそのまま20Km移動させて下呂市で建てると、耐震等級3を「余裕持って」楽々クリアすると言う事もおこる(笑
雪って重いの^^
ちなみに、建築基準法で定められている壁量計算は「積雪量」を加味していません。
ちなみに、建築基準法で定められている壁量計算は「積雪量」を加味していません。
大切な事なので2度言いましたよ(笑
断熱性能が分かりやすく可視化されています。
この凍結溶解を繰り返す事で、外壁も傷みやすくなる訳です。
正しい断熱は外壁の寿命も伸ばすんですね。
と、また断熱の話だと思ったでしょ。
気になったのはソコでは無く(笑
この可視化された筋交いが宜しくないなと。
画像の様な片側のみの筋交いは作用する力が一定方向。
https://eyescode.bijual.com/Date/20170205/ (6年前のブログ)
なので黄色の筋交いは直下に柱があるので、無理なく力を伝達できますが問題は赤色の筋交い。
直下に柱が無いので、一回横架材で横方向に力を逃す事になります。
黄色下の梁より大きな材料が必要になりますが(画像は同サイズの様ですがw)その下の窓とか外壁防水にも良くない影響を与える事も考えられます。
柱の直下率は大切ですが、筋交い下の直下率はもっと大切と言うお話でした。
この辺が4号建物の危うさでもある訳ですが、来年からは構造審査が始まるので、こんな事例も極端に減る事でしょう。うんうん。
建築基準法の壁量計算や許容応力度計算のベースは
最低限として 震度6強~7程度の地震が1回来た時
倒壊しない事が大前提の指針となっています。
大きな地震一回です。
1回目で壊れなかったなら命は守れるから。
2回目が来る前に逃げましょうと。
基準法とはそう言う法律なのです。
ただ大きい地震があると 余震として
大きな地震が繰り返し起きる可能性が高い事は
誰しもご存知でしょう。
元旦に襲った能登半島大震災も
あの辺は数年前にも大きな地震を受けていて
その地震には何とか持ち応えたけど
今回の震度6を超える地震で壊れた・・と言う事も
十分に考えられます。
命を守る事は一番大切です。
しかし守った命は繋いで行かなければいけません。
ずっと避難住宅と言う訳にもいかないでしょう。
今回の地震では倒壊した古い家ばかりが報道されますが
その隣で「住み続ける事が出来る住宅」が残っている事も真実です。
何故住み続ける事が出来るのか。
答えは既にありますが 真摯に取り組みたいと考えます。
さてこちら間取り図集みたいな書籍に載ってた平面。
開放的で無駄の無い動線だそうで。
設計者の名前や電話番号も載ってるので、本当に建っている住宅かもしれませんが、宜しくないと言うかモッタイナイと言いますか。
たぶん、言いたい事は分かると思いますが(笑
いつもの様に1階に2階を乗せてみましょう。
赤線が2階ラインで緑丸部分が二次梁と言うか、なぜこんなに頑なに直下率を下げるのだろうと(笑
逆に言うと緑丸部分に柱入れるだけで、無駄な梁はかなり減ります。
どうすれば?ですが
単純に窓を移動するだけで柱入れられますね。
窓や開口を少し移動するだけで、新しい柱(赤四角)が入ります。
それでも緑部分の梁は通常より大きくなります。
が
柱を入れるだけで、横架材の材積は1割以上小さく出来ます。
これが経済的な考え方です。
立面が無いので不明ですが、窓を移動する事で外観が崩れる様なら、基本計画からやり直した方が良いかと。
そもそも少しチカラワザすぎるので、もう少し壁の直下率なんかも意識し再考した方が良いと思いますが^^
窓ひとつの移動でも見えない構造の価格は変わって来ると言う事です。
経済的な架構、ラフプラン時から始まってますよ。
同じ平面なら安いに越したことないですし、無理な架構は雨漏れの原因になったり耐震にも影を落とします。
この辺のモヤモヤは「外観・平面・空間・架構・断熱」を同時に考える事で防げるかと。
そんなこんなで【少しの意識でコストは変わる】と言うお話でした。
アディ押忍。
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