先日の構造区画(水平構面)話の続き。
https://housingeyes.bijual.com/Date/20231019/
この四角い箱がひとつの構造区画として
この区画が大きくなればなるほど 蓋(梁)や
底辺(基礎)の負担が大きくなる事は容易に想像できますね。
なので単純に 無理の無い大きさの箱を丁寧に並べてあげるだけで
無駄に大きい構造材を使わず 建物を強く出来ると言えます。
これが基本的なコスパ良い構造の考え方。
こーゆー事言うと「構造考えると間取りが不自由になる」とか
「狭い空間になる」とかネガティブな事言う人が居ますが(笑
そんな事はありません。
むしろ同じ空間なら無駄を省く事で安価に建てられるとも言えます。
その辺のお話を分かりやすくイメージすると
「セットバック」とか「オーバーハング」が上げられます。
まずオーバーハングとは
こんな感じで 上階が持ち出している構造体の事。
箱の上に箱をオーバーハングして置くと
小さな力で傾きます。
それを防ぐ為に 上階の床だけで無く
基礎も大きくしないと存在出来ない事は 簡単にイメージできるかと^^
まぁ 木造の場合は そんな極端な事例は
見ないので良しとしますが(良いのかw)
ありがちなのが「セットバック」
セットバックした角部に柱があれば
まだ良いのですが(はい!良く出てくる直下率の話です)
鉛直荷重を床が支えたり
柱があってもズレてたりすると
やっぱり大きな横架材が必要になる訳で。うんうん。
極端に表現すると
これが
小さな力で こーなります。
四隅の直下に柱があれば安定しますよね。
更に壁が強ければ 地面が揺れても倒れません。
こ―考えると 床や柱・壁・屋根の緊結って大切でしょ。
それ以前に丁寧で無理の無い構造区画が必須な訳で。
そんな無茶な新築無いでしょww ってアナタ・・
こちら小さく 建築途中の家
赤い線が2階の角部。
もちろん構造の安定は確認しているでしょうけど
今回はコストの話なので^^
あと 築数年の家。
って これ書くために ちらっと見渡しただけで
簡単に写真2枚撮れましたぞ(笑
ディスってる訳で無く あくまでコスト対比の話です(笑
目に見えないコストを抑える。
忘れがちだけど これだけ建築価格が上がっている今
すっごい大切な自己防衛とも言えるかと。うんうん。
本日は構造区画の並べ方とコストのお話でした。
ここも今度のテスト範囲だからなー
ちゃんと復習しとけよー(誰なんだお前は)
アディ押忍。
ここでも良く出るワード、お馴染み「水平構面」
対して縦方向の構造面は「壁構面」「垂直構面」となります。
良く目にする「耐力壁」と言うのが垂直構面なのですが
本日は どれだけ壁強くしても意味が無いと言うお話ざんす。
へ?耐力壁があっても意味が無い?
正しくは 耐力壁だけでは存在が生かされないのです。
例えば こんな箱
この縦方向4面が耐力壁だとイメージして下さい。
その角に力を加えると
たかが「紙」なのに 変形しない事イメージ出来ますよね。
押した力と同じ力で押し返してくるからです。
これが「6面体」の力。
では 蓋を開けてみましょう。
さっきと同じ力で押してあげると 簡単に変形します。
でも内蓋を内側に曲げるだけで さっきより多少変形が小さくなります。
ただ内蓋は固定されていないので あくまで多少です。
お分かりですね。
この蓋の役目が水平構面なんです(ドヤ
壁量を生かすには 正しく緊結された蓋(水平構面)が必要。
ただ
建築基準法相当の「壁量計算」には この水平構面の検討が無いのですよ。
・・おかしな話でしょ。
どれだけ強い壁が一杯あっても蓋が無ければ効きません。
でも その検討方法が無いのが基準法相当なんです。
その辺はまたの機会にでも(笑
なので
構造や断熱は「正しい数字」と「根拠」
そして「施工精度」が大切だと言えます。
「正しい知識」と読み替えても良いかもです。
なので
「この建物は基準法の1.5倍の壁量があるので耐震等級3です」なんて
おつむ大丈夫?的な与太話は存在しない訳ですww
そんなこんなで 水平構面のお話でした。
空箱見つけたら コレ思い出して検証してみてくださいませ^^
アディ押忍。
昨日X(Twitter)に「ピクチャーウィンドウ」ってポストしましたら
角に窓を設置するのは耐震的に大丈夫なんですか?
なんてコメント頂きました。あざす^^
ですよね。イメージ的には確かにそうなります。
しかし 端的に言っちゃいますと
「強い壁には 強い引き抜き力が掛かります」
例えば分かりやすく「筋交い」入れた耐力壁。
これで壁倍率1.5倍ですが
この絵で言う左方向からの力には殆ど効きません。
耐力的に効かせるためには ↓この向きに入れますが
当然ながら 柱には丸印部分に引き抜き力が掛かります。
この壁は1.5倍壁ですが これが3倍壁とか5倍壁になると
掛け算で引き抜き力が大きくなる訳です。
こちらは勉強させて頂いてる「構造塾」より説明テキストですが
こんな感じで力が作用するんですね。
なので この引き抜き力に対抗するために
基礎からホーダウン金物で柱を固定するのですが
もちろん基礎にも耐力が求められます。
話は「角」に戻って
建物の角にはキホン大きな力が掛かります。
積雪量やプランによっては市販認定されている
ホールダウン以上の力を求められる事も(汗
まぁ計算してればの話ですけどね(笑
とりあえず
なのであえて角に「耐力壁」を設置しないで
引き抜き力が大きくならない様にバランス取る事も重要。
角に開口つくるのは「あえて」の事も多いのです。
※窓で無くとも面材耐力なら釘打ち本数等でも調整可能
ですので 最初のご質問への回答としましては
「ちゃんと根拠ある計算していれば全く問題無い」
と言う事になります。
とかなんとか
切り取りたい景色があったりしての
あ・え・て
って事もありますよ^^
関東大震災が起こった1923年(大正12年)から今年で100年。
マグニチュード7.9との事で、都市直下型としては最大級と言えます。
都市直下型で記憶に新しいのが2016年(平成28年)の熊本地震や
1995年(平成7年)の阪神淡路大震災ですが
どちらもマグニチュード7.3との事。
双方記憶に新しく 建築人として心を締め付けられる思いですが
マグニチュードは1違うとエネルギーは32倍になります。
つまり マグニチュード7.9の関東大震災は
マグニチュード7.3の阪神大震災や熊本地震(2回目)に比べ
約8.4倍のエネルギーとなります。
想像してください。
熊本地震が続けて8回襲って来る訳です。
いくら昼食時の人口密集地を襲った関東大震災とは言え
想像を絶するエネルギーだと容易に想像できます。
私達が出来る事は地震に強い家を造る事ですが
やはり日頃の防災意識や避難対策は丁寧にトレースしておきたいモノです。
あと物理的に言えば「家具の固定」
地震時 家具類の転倒・落下・移動による被害は
怪我原因の6割を占めるとの調査もあります。
非難時や就寝時 家具や調度品が自分に襲い掛かって来ない様
今一度固定方法を確認しましょう。
金具等での固定が難しい場合は お気軽にお声がけ下さい。
東京消防庁 家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブックより
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-bousaika/kaguten/handbook/
家庭用家具の転倒・落下・移動防止対策
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-bousaika/kaguten/handbook/06.pdf
今一度 お部屋周り見回してみましょう。
車走らせてて なんとなく違和感感じた建物
何でかなぁ?と思えば
あぁ 現わしの梁に間柱欠きしてある違和感だった。
↑この画像で言う矢印部分に カット入っているでしょ。
これ 間柱立てやすい様入れる「欠いた目印」なんだけど
この場合は 非常に宜しくないす。
たぶん プレカット工場で間違えたのでしょう。
もしくは途中で現わし梁にした?どっちにしても宜しくないす。
答え合わせしますと お菓子の袋とか何かのビニールパッケージって
こんな切込みありますよね。
この切込み無いと簡単にパッケージ開けられなくて
きっとイライラするハズです(笑
ビニールなんて簡単な素材ですら あの切込み一つで
使い勝手は大きく違っちゃって 格段に「切りやすくなる」訳です。
そんな力学を頭に残しつつ
最初の建物を角度変えて見てみましょう。
ほら
屋根荷重(もちろん雪も)が掛かった横架材(母屋)の荷重は
直下の柱で下階の梁に落ちてますね。
その重さを支えるのが直下の「梁」なのですが
柱の真下にも しっかり「欠き」が・・
この梁背が8寸(24㎝)あったとしても
この欠きだけで 4寸(14㎝)より小さいせん断力になります。
※下に間柱が立っていれば大丈夫ですが
やっぱ違和感あるでしょ^^
これね
増改築なんかにも言えますよ。
簡単に「この壁抜けますよーw」なんて無責任な事は言えません。
いえ 言っちゃいけません。
最近 リノベとか新しいブームになりつつありますが
この辺ちゃんと押さえておかないと 建物の強度は
計算に乗って来ません。てか強度計算バカ難しくなります。
もちろん そんな事例にも対策ありますが
そもそも違和感感じなきゃ右から左です(笑
いゃ笑いゴッチャない・・w
そんなこんなの間柱欠き。
「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」なんてコトワザの通り
そんな欠きひとつ・・では無く結構存在感大きいんですよ^^
本日は「間柱欠き」のお話でした。
実際 無くても良いんすけどね そんなもんw
アディ押忍
ん?いつもの工事途中と違うな?と思われた方
いやん さすがメザトイww
こちら断熱・防湿工事の後に木材を打ち
もう一層 電気配線用のスクロールスペースを設けているんですね。
天井も同様。
これやる事で後々のコンセント移動とか
照明器具移動がやりやすくなります。
ただ こちら平屋だから可能なだけで
二階建て以上で まともに構造計算すると
室内側にも構造用面材が必要になるので
この様な配線胴縁の施工はコスト的におススメしません。
なんとなく良さそうではありますが
イメージだけで コストとか耐震とか見ないのは不味いすよね。
そんなこんなの配線用胴縁スクロールスペース
あればあったで楽だけど 雪国でそれクリアするだけの
コストメリットがあるかと言えば・・
無いす(キッパリ)
雪って重いんですよ。
正しい構造と断熱計画 そしてメンテナンス計画
全ては繋がっていますからね。うんうん。
ツーバイフォー工法ではお馴染みですが
在来工法でも厚物床合板と梁との緊結には
ウレタン樹脂系接着剤を用います。
そして実は内緒ですが うちの現場では
海賊王になる男が釘打ちしています(謎
釘打ち機持って 今か今かと待ち構えてるの図
海賊王になる男は クレーンへの指示も行います
その下では棟上げ様の防水シート貼ってます
そして見守る海賊王になる男
すかさず釘打ちする海賊王になる男
まぁ 海賊王になる男はもぅ良いすか(笑
そんなこんなで「施主王」参上にて 弊社社員大工と棟木トントン
なにげブイサイン強要ww
こんな事も安全に出来るのは
最上階は構造用合板で「水平構面」を作っているから。
うむ 美しい
で そろそろ全体の形が見えてきました。
ん?このピラピラなんだって?
こちら垂木下に高性能GWで屋根断熱するので
そのための先張り防風シート。
垂木の大きさ全てを(ここは90mm)屋根通気層にします。
あ 屋根の上に海賊王になる男が居た(まだ言うか笑)
深い軒が夏季の日射遮蔽に効きます。
あ そそ 上の画像で良く判るのが柱の直下率。
赤が この面の柱位置
キレイに直下率100%ですね。
これね
経済的で強い架構には とっても大切な事。
ほどなく屋根も雨仕舞いして シート養生に移行。
そんなこんなの一日でした。
海賊王に彼はなる!(まだ言ってたのかw)
外壁の通気層は「下~上」まで
停滞無く繋がって事が重要。
例えば↑赤丸部分。
通気層施工前に天井下地が組まれていますが
通気層分の隙間が分かると思います。
別の面もこんな感じ。
ちなみにこちら
硬質断熱材にて外張り付加断熱としています。
①が断熱材の繋ぎ目を留めている防水気密テープ
②が透湿防水シートを留めている防水気密テープ。
これちゃんとやっておく事が
万一の漏水に備える事になります。
で
通気層を作るとこんな感じ。
天井貼っても ちゃんと通気取れている事が分かります。
あと 透湿防水シートをテープ張りしておく事で
シートの重なりが上昇気流の妨げにもなりませんね。
これが見えない安心。
あ そそ
透湿防水シートですが 在庫のタイベックが無くなったので
「スーパーコートEX」に変更しました。
よく判らん防水シートが世に溢れていますが
こちら50年耐久測定の安心性能^^
話は戻って「連続した通気層」の話。
通気層の入り口部分がこちら。
いつものメッシュ素材にて
通気はするけど小動物は通しませんぞ。
これも見えなくなる安心と言えるでしょう。
「通気は連続する事」が大前提ざます。
アディ押忍
小屋裏部分は
構造面材にて水平構面を
その上から束を建て
桁を組み
屋根形成(はやっw
何か平屋は構造計算要らないとかなんとかって話が出回ってますが・・
平屋でもちゃんと構造の安定を確認しなければイケませんよ。
単に検査機関に構造根拠を出さなくて良いだけです。
あ
それ 2025年4月からの話でした。
つかそんな当たり前の事 今でもちゃんとやっときましょうね。
住宅金融支援機構より、ZEH水準等※の木造住宅に関する注意事項が注意勧告されています。
壁量基準の改正案公表に伴い、壁量計算を行う場合の注意事項となります。
■ZEH水準等※の木造住宅に関する注意事項(住宅金融支援機構)
https://www.jhf.go.jp/topics/topics_20221226.html
■木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準(案)の概要の公表について(国土交通省)
屋根に太陽光パネル乗っけるのは良いとして、ちゃんと構造検討しないとダメって事です。
頭でっかちで 体幹が未熟な赤ちゃんとか転びやすい事は容易に想定できますよね。
ちなみに その壁量的には大枠1.6倍程度が想定されます(クリック可)
ただし・・これ基準法相当なので
耐雪(雪の重み)は全く加味していません
正しい耐震 ちゃんと担保しましょうね。
【 ハウジングアイズ 】では、飛騨高山にてパッシブな高断熱思想を用いて、恒久的な省エネ快適住宅を御提案しております。